「社長!一言しゃべってください」
「おぉ、ヤナギ、やっと出番がきたじゃん」
「社長!早く!」
「えぇ、ご指名ですので一言。本日は天候にも恵まれ、絶好の釣り日和となり、
『釣れちゃうんじゃね』と、勘違い…」
「長〜い!社長、一言で!」
「そうなの、これから面白くなるのによ」
「ブウウウ」
「はいはい。では、あらためまして、『祝!開幕!』」
「毎年おなじセリフです」
「だから、チョイとよ、変えてさ、」
「先、行きますよ〜!」
「もう、どうでもいいのか。行くよ、ペーヨン」
「やっとですね。あっ、やめて、やめて、裏拳」
「しねぇよ。釣り釣り」
「おっおぉ!」
「出ましたね、今。全部見ちゃいましたよ」
「なぁ、しか〜し、まったくノラず」
「社長、ナンですか?そのルアーは」
「グハハハハ。この日のための、新作さ。『贋作!マグナム・◯ップX』」
「アヒャヒャヒャ〜、パクリですか?メガバスの」
「正解。この大きさを、発売してくれないだろ」
「だから自作?ボディは?」
「いい質問ですね」
「池上さん、しなくてもいいですよ。で?」
「海の向こうで見つけた。今は売ってるよ、オレんちで、ほら」
「スゲェ!ホログラムシールがそれッポイ」
「だろ!今は『ストレッチホロ』って良いのがあってさ、貼るのもカンタン」
「社長、6発出たのに、ノラず、俺はノーバイ」
「なぁ、メガバイトもあったのに。訳はわかっている」
「ハイィ?」
「レッドペッパーにダブルフック。これだね」
「はぁ…」
「立ち浮きだろこれは、フックが腹にピタッとしちゃう訳サ」
「あっ!ですかぁ、俺も気をつけよ」
「よって、むき出しダブルフック仕様!」
「アヒャヒャヒャ〜、それじゃあ、すぐ引っかかちゃいますよ」
「なせば成る!!大松監督だな」
「またわかんねぇ」
「だろうな。生まれてないよ、ペーヨンはまだ。上杉鷹山公、武田信玄公からきてるらしい」
「さらに、わかんねぇ」
「小腹すかね?」
「ちょっと。2時ですから」
「パン喰う? by 雅亭」
「是っ非!!」
「じゃ、焼いてあげっから、コーヒー付きで」
「あざぁす。モグモグ、ゴキュゴキュ」
「あそこ投げてイイかい?」
「どうぞ、パン、メチャ美味いんで。モムモム、ゴキュ」
「では遠慮無しで。とお〜」
チャプ
ピヨヨ〜ン、ポヨヨ〜ン
ガバ〜!
「出た!今度こそノった」
「はぁい、撮りますよ〜。OっKで〜す。35cmですね、初バス」
「サンキュウ・光一」
「誰ですか?それは」
「nack5に出てたろ」
「わかんねぇ、いつ頃です?」
「20年くらい前かなぁ」
「無理!小学生でしたよ、それじゃ」
「そんななの?」
「はい、そんな年頃でした。それより、効きましたね、もろ出しダブルフック」
「完璧。そして命名『パン喰ってる場合じゃないぞ!ポイント』」
「アヒャヒャヒャ、またですか」
「やぁ!おさんかた、釣れた?」
「自分だけ、金井さんとはるおさんは、ノーバイ」
「ペーヨンと一緒か。大きさは?ヤナギ」
「36cm」
「アヒャヒャヒャ〜!社長、負けましたね」
「まだまだ時間はある、ペーヨンついてこい!」
「はは。って、下僕ですかぁ」
「ペーヨン、おつかれ〜にするぞ!」
「えっ、上がりですか?」
「ああ。見なよ、ヤナギが仁王立ちで、こっち見てっから」
「ホントだ」
「『こんな風ん中。早く来いよ!』って、顔してる」
「ヤベ。社長、全開で!」
「ラジャー」